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平成26年度に大分県消費生活・男女共同参画プラザ(アイネス)および県内各市町村消費生活センター等相談窓口で受け付けた消費生活相談件数は、8,144件。そのうち市町村で受け付けた相談件数は4,581件(うち大分市は、2,081件)。被害に遭ったり遭いかけた人で、相談してこない人はこの何倍もいる。 |
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悪質商法の被害に遭っているのは、70歳以上の高齢女性が圧倒的に多い。これには共通した理由がある。それは、「老後の生活や健康の不安感・孤独感・信じやすさ・プライド」などがある一方で、「関心・情報・話し相手・騙されたことに気づく力」などがないことである。 |
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高齢者は、比較的家にいる時間が長いため、「訪問販売」や「電話勧誘販売」の被害が圧倒的に多い。悪質業者は、高齢者の不安感や孤独感につけ込み、優しく親切な人を装って高齢者に近づき、何度でも家にやって来て、その度に執拗に商品を勧めるようになる。すると、高齢者は、“こんな親切な人が勧めてくれる商品に悪いものがあるはずはない”、“高価ものだから品質も良いはずだ”、と信じこんでしまう。このような『思い込み』は、正常な判断をできなくさせてしまう。 |
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騙された人は必ず「まさか!!!」と言う。「まさかあの人が・・・」、「まさか自分が・・・」だ。実は、「自分は絶対大丈夫」と思っている人ほど危険であるともいえる。
また、一度騙された経験のある人でも、今度は大丈夫と思いこんでしまい、繰り返し騙されてしまうことも多い。
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では、『思い込み』をしないためにはどうすればよいか?
「疑ってみる」習慣を付ける・「断る力」を付ける・「もう一度考える」習慣を付ける。また、おかしいなと思ったら、ひとりで抱え込まずに消費生活センターなどの相談窓口に問い合わせてみることが大切である。
次のデータが示すように、問い合わせ等により被害にあわずに済ませることもできる。 |
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平成26年度の大分県消費生活・男女共同参画プラザ(アイネス)における相談受付分の被害回復件数は約460件、金額は約1億6300万円に上った。
被害回復金額とは…大分県消費生活・男女共同参画プラザが斡旋・助言したことにより、解約・返金された金額や同プラザの助言等により、相談者が支払わずに済んだ金額。 |
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今回の講演では、被害の実例を寸劇により再現し、被害者はその時どう対応すればよかったかを全員で考えてみることとする。 |
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○ケース1 <名義貸し>
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「生活センターの××ですが、あなたの個人情報が3社に漏れているので削除します」と電話が掛かってきた。削除をお願いするとまた同じ人から、「2社は削除できたが、どうしても1社が削除できない。削除するには、他の人の情報を提供すればできる」と言われた。「思い当たる人がいなければ、こちらで探してみる」とのこと。 |
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しばらくして「他県の人が代わりになってくれるので、その人にお礼の電話をするように」言われた。電話をかけると「ボランティア団体に寄付をするので、あなたの名義を貸してほしい」と言われ、「私の名前で良ければ使ってください」と答えた。数日後、複数の見知らぬ人から電話が掛かり、「名義貸しは違法行為だが、裁判所に一定額を支払えば罪に問われない。すぐに百万円を宅配便で送るように」と言われ、怖くなって送ってしまった。 |
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≪対応策≫ |
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公共機関がこのような電話をかけることはないので、電話を切ること。 |
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電話でお金の話になったら、「詐欺」を疑うこと。
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不安であれば、県や市町村の消費生活相談窓口に問い合わせる。 |
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○ケース2 <送りつけ商法>
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「今ならカニがとてもお買い得です」と電話が掛かってきた。断ったつもりで「結構です」と答えたが、数日後、代金引換えでカニが送られてきた。高いと思いながらも宅配業者へお金を支払った。結局、食べてしまったが、家族からカニの中身がスカスカだと指摘された。 |
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≪対応策≫ |
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「いりません」、「欲しくありません」とはっきりと意思表示をして断る。
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受け取りを拒否する(このとき業者名等を控えておき、クーリング・オフの通知を出すと安心)。 |
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届いた商品を開封して、商品が代金と見合わないと思うときはクーリング・オフできる。(ただし、食べてしまったらクーリング・オフできない。)
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≪クーリング・オフ制度について≫
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電話勧誘販売や訪問販売は、契約書を受け取った日を含め8日以内に簡易書留で通知を出せば無条件で契約が解除できる。 |
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工事が終了したり、商品を使っていても原則として、クーリング・オフできる。 |
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頼んだ覚えのない商品は、商品の到着より14日間を未使用のまま保管しておけば、14日間経過後は業者の返還請求権が消滅するため、自由に処分してもよいこととされている。 |
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悪質商法にあわないためには、「自分は大丈夫」だと思わないことが大切である。日頃から、「思い込みをしない」、「関心を持つ」、「困った時には、ひとりで悩まず、人に話す」、「相談窓口があることを知っておく」ことが重要である。 |