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大分市の人口は48万人であるが、そのうち40歳以上(介護保険加入者)は 26万人、65歳以上(介護や支援が必要と認定されたらサービスを利用できる人)は10万人である。うち介護認定者は2万人に上っており、介護保険は身近なものになっているのではないかと思う。 |
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今もし身内で介護が必要となったら、何も知識がなくても、市役所に電話すれば介護保険に関する問題が全て解決する仕組みになっている。 |
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介護保険は平成12年4月1日に始まったものであるが、従来、介護は地域や社会の問題というよりはそれぞれの家庭の問題として認識されており、お年寄りは家族の中で面倒をみるというのが常識となっていた。しかしそれも核家族化が進んだ現代においては、負担が大きくなってしまったことなどから、特別養護老人ホームで面倒を見てもらうケースが増えていった。しかしながら、同ホームへは定員の問題等から中々入れない状況も続いたため、別建ての財源を確保して介護保険制度を作り、社会全体の問題として考えようということになりこの制度が始まった経緯である。 |
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65歳以上で介護保険の認定が必要と思われる人は、「介護認定申請」を市の窓口に提出して認定を受ける流れとなっている。その判定のクラスに応じてサービスを受けられるというシステムが出来ており、1番介護度の重い「要介護5」では、毎月35万円(うち利用者負担1割)で全てのサービスが受けられることになっている。このように、これまで家族で介護していた時代から、全て介護保険制度でやりましょうというシステムに変わってきている。
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こういったサービスを提供するための予算は、大分市でみると平成24年度は年間約300億円に上っている。この財源は、国や県、市からの負担金や40歳以上の市民の介護保険料で賄っている。元々毎月500円程度の負担で介護保険制度を作ろうとしたのが始まりであったが、導入から13年間で、当初の約3倍もの給付が必要な状況になり、保険料は約2倍になってしまった。
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統計的なことについて説明すると、大分市では2万人の介護認定者が介護保険制度により支出される300億円を使っているため、平均すると1人当たり150万円を利用している計算となる。また、介護認定を受けている2万人のうち約4,000人が男性、16,000人が女性となっている。さらに、平均寿命(平成23年)は男性で79歳、女性で86歳、介護認定を受けている方の平均年齢は85歳である。このことから推測されるように、男性は10人に1人しか介護保険を使われていないことになる。
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「介護保険」の発祥の地であるヨーロッパでは、ボランティアに対する考え方が確立されており介護保険の制度にもそれが反映されているが、日本では「保険料を払っているのだから使わなければ損」という考え方があるようにも窺われる。日本では、介護はボランティアよりもビジネスの感覚が強い。
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介護保険の将来について考えてみると、今後20年もしないうちに、介護保険料は現在の約2倍となる毎月1万円程度の負担にしないと制度そのものが維持できないことも予想される。その回避策として、現状の利用者1割負担を2割負担に引き上げる、あるいは現在40歳以上が負担している保険料を20歳以上の人に負担してもらうといった検討もなされている。
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それに対して、年金・健康保険・介護保険などの社会保障制度は、それぞれが民間保険会社に加入して賄えばよいという意見もある。また、介護保険も自動車保険と同様に「高い保険料を払う人は高い給付を受けられるようにしたらよい」という考え方もある。高い保険料を払い続けたにも拘わらず、制度を全く利用しない人もいるこの介護保険制度を今後も続けて行くのか、また市町村や加入者がそれだけの負担の増加に果たして耐えられるのか、改めて考えるべき時に来ているのかも知れない。
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と説明しました。 |